明るい無職は農家になりたい

非農家無職33歳が農家を目指す。

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」を読んだ無職

読むペース遅いわ忘れるわの明るい無職デス!
読み終わる頃には最初の方を忘れかけています。

田舎のパン屋が見つけた腐る経済
渡邉 格(わたなべ いたる)

を読み終わりましたので、感想をつらつらと。


「読みやすい!」

もうこの部分を声高々に伝えたい!
話が細分化され書かれているので、とっても読み進めやすいの。
長々と書かれると、途中休んだ時にどこまで読んだか分からなくなる読書弱者な明るい無職もこれには安心。

話の内容も実体験を元に書いているので、変に反感を持たずに読めるんやで。
気難しい人にも安心!

「くっそ面倒な資本の話を噛み砕いて説明」

体験談だけなら、凄く頑張ってる天然素材のパン屋さんの話なんですよ。
ですが、この作者はそこに資本の話をぶっ込んで来るのです。
労働力を売り物とする労働者と、その労働力を買う資本家、この2つの話がメインテーマなのです(多分)。

資本主義である以上、資本家はお金になるならどんな仕事にも目をつけ、介入してきます。
その結果、物は大量生産され安く売られるのです。薄利多売というやつですね。
一見するととても良いことなのです。
明るい無職が安い生命維持費で生きているのは、これのおかげとも言えます。

しかし一方で、資本家の入り込んだ産業と言うのは明るい無職のような悲しき弱者を生み出すのです。

1時間に10個しか作れない技術で1個100円の値段を付けていたものがあります、つまり時給1000円ですね。
そこに資本家が参入。様々な工程が機械で短縮、材料が廉価品に変わり、1時間に20個作れるようになったとします、これだけなら時給2000円です。
しかし、資本家は元の値段では売らずに1個50円にしたりするのです。値下げの理由は競争だったり、それこそ薄利多売だったり。
そうすると20個作る労力に対し前と変わらぬ時給が支払われるのですよ。場合によっては機械化され楽になったろと下がったり。

そこにあるのは技術ではなく、作業だからなのです。
労働者が売っていた技術が消え、単純な労働力としての作業だけが安く買われ続ける。
今の社会はそれを永遠に続けていくようなものではないでしょうか。
その中で、労働者は幸せになれるだろうか?

現に明るい無職は地方でおっそろしく安い賃金で働いてきました。
確かに生活はできるのです。
地方の生活に必要な金額はそれほど高くないから。
でも、それを続けて幸せになれなかったから今に至るのですYO。
全国の無職の方々は大なり小なり同じような経験をしていると思うのです。
その中で生きて幸せを探すのも良いと思います、それとは別の道で幸せを探したのがこの作者でした。

「労働者は労働を売っている」

明るい無職は360°どう見ても労働者です。
労働を時間で売ってお金を稼いできました。
それが当然だと思っていたし、それ以外の考え方は工業高校では教えてくれませんでしたね!

勉強もしてませんでしたが

さて、そうなると明るい無職は今後どう生きていくのでしょう。
また労働者として労働力を売るのもありです。
しかし、生活水準ギリギリの生活では雇用主が無茶なことを言ってきたら逆らえません。
なんせ明るい無職には労働力しか売るものがないのです。
労働者も上手く立ち回らなければいけないのです!

たまたまですが、農業はこれに上手くかみ合う部分が多くあります。
農家は労働者ではありますが生産という武器を持っています。
そこを上手く生かしたのが「半農X」や「兼業農家」ではないでしょうか。

都市部に出て堅実にサラリーマン、という手もあります。
ありますが、今のままではまた時間を切り売りする労働力になること間違いなしです。
都市部は恐ろしい場所です。
何処へ行っても資本家の手が伸びています。
家、食事、娯楽、移動、そして仕事。
勿論それはお金を払う限りは消費者を守ってくれますが、それを当然のように享受する人間はどこまでも傲慢に残酷になれると思うのです。お金が正義、労働が正義なのです。それは資本家も一緒です。当然の話ですが、お金が無ければ家を追い出され、食事も買えなくなるのが都市部です。

かと言って、田舎に行けば愛情あふれる理想郷があるかと言われれば違うのでしょうが。
でも、田舎には資本家の手が入っていない場所が多くあります。
誰も住んでいない荒れた古民家、耕す者のいない農地、そんなものにこそ現代は可能性がある、そんな気がするのです。

「さいごに」

パン屋さん視点から経済を語るというのは初めて見ましたが、書かれている内容に説得力を感じとても面白かったですよ!
自然の菌を自家培養してパンを作るような猛者ですから、その体験はなかなかに凄いものがあります。
何より読みやすいので、ぜひぜひ色々な人に読んでほしい一冊でした。

まる。