明るい無職は農家になりたい

非農家無職33歳が農家を目指す。

激戦!リンゴ農園!~葉っぱ取り編~③

時間通りにリンゴ農園に到着した無職。
そこには見知らぬ車の数々、そして聞いたことの無い若い声、楽しげな笑い声が。
無職はその時初めて気がついた。
畜生!!親戚一同が集まってやがる!!(血の涙)



無職VS親族八人衆!

リンゴ農園は一日前とはまるで変わってしまった。
無職の愛した黙々と作業をする光景はそこには無い。
久々に集まる親戚の談笑が響く中、無職には様々な人間から様々な質問が投げ掛けられていた。
顔と名前を覚えることが苦手な無職は徐々に追い詰められていく。
簡単な自己紹介をされるが、全く覚えられないのだ。
しかしこれは仕方がない、仕方がないのだ。
なんせ相手は八人もいたのだ。
娘、娘婿、その友達、孫.....エトセトラ。
もう関係性すら分からない人々に囲まれ、ゴリゴリ精神を減らさせていく無職。
助けてくれ!
その叫びは、楽しげな談笑に掻き消された。

涙のランチタイム

無職を含め九人もいると、作業小屋はギュウギュウである。
昼寝という緊急避難もできるはずがない。
いつも通り無職は持参のバナナとミカンを食べていると、それで足りる?と手作りの弁当が差し出された。
そんな...バカな...。
無職は図体のでかい髭のメガネである。
世が世なら歩いているだけで通報されたことだろう。
なのに、手作りの弁当を予め用意してくれていたのだ。
無職は食べた。
弁当を無心に食べた。
ちょっと塩辛いかな?そう思ったのは、無職の涙が弁当に零れたからだった(話は盛った)。


気がつけば最終日

完全に餌付けされた無職。
気がつけば最終日となっていた。
親戚一同から感謝の声を貰う。
そして手渡される給料袋。
時給は、800円だった。
一日約六時間計算、時間をオーバーした日もちゃんと残業代が計算され、トータル約二万五千円。
更にリンゴの現物支給、売り物のリンゴジュースまで貰ってしまった。
こうして、無職初のリンゴ農家バイトが幕を閉じた。
時給800円というと安いと思う人もいるだろうが、無職にとっては時給400円でも200円でも良かったと思えた。
そこは素晴らしい経験と美しい人間関係に溢れていたからだ。




やたら綺麗に終わらせましたが、本当に良い経験でした。
働いてるのに楽しい、という感情は初めてだったかもです。
農作業のしたい無職と、その時だけの労働力が欲しいリンゴ農家さん。規模のそんなに大きくない、かつ高齢なリンゴ農家さんとしては、きっと無職とて頼りになったはずです(と思いたいw)。
最良の関係をWINーWINの関係、と言いますが、今回はまさにそれでした。
これは猟友会で出会った個人のリンゴ農家さんと、たまたま農家を目指していた暇な無職の組み合わせが生んだ偶然の産物です。

求人にお金をかけ、法律的に型にはまった雇用では起こり得ない雇用と労働のWINーWIN。
農業の可能性というのは、こういう所にもあると思う無職でした。

↑の文章を書くのに一時間かかりました。
綺麗に落とせたので誰か褒めてください。


次回!ついにリンゴ農園の華、収穫バイト編突入!
次にもがれるのはリンゴか、それとも……。